KHRシミュレータ
KHR-3HV Small Humanoid Robot Simulator
新着情報
※KHRシミュレータと一緒に配布していたHTH4 Private版(v0.4β)が、いつの間にかライブラリ不整合になっていました。とりあえずHTH4 Private版を、v0.6RCにバージョンアップしました。Windows11 日本語版(64bit)において、近藤科学社が配布している"KHR-3HV Download set(KHR_3HV_Ver_7_9_jp_Download)"に含まれるHTH4(オリジナル版)v2.4.0.1と共存できることを確認しました。ただしHTH4 Private版はv2.3.0.0ベースのため、今後予期せぬ不整合が発生する可能性があります。 なおこのHTH4 Private版のバージョンアップにより、ToolBox4フォルダのインストールは不要になりました。[Jan. 1, 2025]概要
二足歩行ロボットKHR-3HV(近藤科学株式会社製。以下、近藤科学社という)のシミュレータを公開します。(これはPCソフトウェアであり、実機を所有している必要はありません。実機がなくても、二足歩行ロボットの世界を体験できます。)Coppelia Robotics社から無償で公開されているCoppeliaSim(旧V-REP) Playerと同時に使うことで、数値計算による物理シミュレーションにより、実機を使わずにKHR-3HVの動作をCG(コンピュータ・グラフィックス)でリアルタイムに確認できます。
他のロボットシミュレータでは一般に各関節角度の時系列データを使用しますが、KHRシミュレータではKHR-3HVに搭載されているCPUボードRCB4の動作も含めてシミュレートしているので、実機と同じコマンドで制御できるようになっています。そのためサンプルモーションや既存のロボットモーションに手を加えることなく、そのまま実行できます。 また近藤科学社のモーション作成ソフトウェアHeartToHeart4(HTH4)や自作のロボットコントロールプログラムとも、容易に連携できます。シミュレータと実機を自由に切り換えられるので、実機を使わずにシミュレータを使って開発・検証したモーションを、実機で動かすこともできます。
シミュレータでは、さまざまな「チャレンジ」をしてもロボットが壊れる心配がありません。膨大な実行例から学習する「二足歩行ロボット×AI」研究や小中学校で必修化されるプログラミング教育、またホビーユースなど、幅広い利用が期待されます。
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KHRシミュレータはもともと研究用に開発したものを、簡単に使えるように改変したものです。そのため、KHR-3HVやRCB4のすべての機能をサポートしているわけではありません。
実機の(少なくとも初期の)RCB4ボードにはマニュアル通りに動かないバグがいくつかあり、それらについては意図的に実装していません。(こちらで発見したバグについては、すべて近藤科学社に報告済です。)
また二足歩行ロボットの正確な物理シミュレーションは、非常に複雑で難しいです。実機に合わせたロボットモデルを直立した姿勢のまま維持するだけでも、かなりの時間がかかりました。なるべく実機に近い動きをするように調整していますが、物理シミュレーションの正確さや実機の個体差などさまざまな要因により、実機と完全に同じ動きをすることを保証するものではありません。一つの参考として、ご利用ください。
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物理シミュレーションでは数値計算によってロボットの動きを求めるので、一般には再現性があります。再現性があるとは、同じパラメタセットでシミュレーションすれば、何回やっても同じ結果が得られるということです。これにより例えば二足歩行ロボットのモーションでは、倒れるパラメタセットと倒れないパラメタセットの境目がはっきり決まります。これはシミュレータでは当たり前なのですが、実機ではそんなことはまずありません。必ず倒れるパラメタセットと絶対倒れないパラメタセットの間には、倒れたり倒れなかったりする(しかも倒れやすかったり倒れにくかったりする)曖昧なパラメタセット領域が存在します。
KHRシミュレータでは実機と同じように、結果が曖昧なパラメタセット領域が存在するようになっています。毎回リセットした状態から同じパラメタで始めても、ロボットの状態や通信タイミングの微妙な違いによって必ずしも同じ結果になるとは限りません。
AI技術とシミュレータを組み合わせて、最適なパラメタセットを求めるという
研究が多数あります。そのような研究用にKHRシミュレータを利用したいとお
考えの研究者や学生さんもいると思いますが、その最適なパラメタセットの再
現性や安定性(例えばそのパラメタセットを使えば必ずうまくいくのか、たい
ていうまくいくがたまに失敗することもあるのか、あるいはたいてい失敗する
がうまくいったら最適解が得られるのか)についてもよく考慮する必要があり
ます。
最小システム要件
OS
Windows 10 (64bit) 日本語版でテストしています。Windowsのそれ以外のバージョンでも動く場合がありますが、こちらで同じ環境を用意できないためサポートはできません。PC性能
KHRシミュレータは、リアルタイム(実機と同じ速度)で動作することを前提に設計されています。そのためKHR-3HVモデルのシミュレーションを実行した時に、CoppeliaSim画面内に表示されるRealtime fact値(実時間に対するシミュレーション速度)が1.00である必要があります。1.00に達していない場合は残念ですが、PCの性能が足りていません。 それでも一応動きますが動作のタイミングがずれるので、例えばロボットが倒れるなど正しいシミュレーション結果が得られません。Realtime fact値の測定方法については、“技術情報”ページを参照してください。
PC性能の目安を示します。物理シミュレーションは複雑な計算を繰り返しますが、モデルやシーンが比較的シンプルな場合、ある程度の性能があれば古いCPUでも問題ありません。(KHRシミュレータは、7年以上前のCore-i7 3770K環境で開発しています。)GPU(グラフィックス)ボードも、必須ではありません。また実行中のリソースモニタの結果から、Core-i7や16GBメモリでなくても大丈夫かと思います。実際に試してみてください。 (表より性能が低いPCでも動いた場合は、ご連絡ください。)
(現在、CoppeliaSim(V-REP)はWindows7 32bits版には対応していません。)
PC Type
CPU
Mem
GPU
Year
OS
Real time fact.
Desktop Core-i7 6700 (3.4GHz) 16GB (CPU内蔵) 2015 Windows10 ○ (1.0)
Desktop Core-i7 4770K (3.5GHz) 16GB (CPU内蔵) 2013 Windows10 ○ (1.0)
Desktop Core-i7 3770K (3.5GHz) 16GB GeForce GTX660 2012 Windows7(64bits) ○ (1.0)
Notebook Core2Duo L7800 (2.0GHz) 2GB (CPU内蔵) 2008 Windows7(32bits) × (0.5〜0.7)
物理シミュレーション
KHRシミュレータには、我々がモデリングしたCoppeliaSim用のKHR-3HVロボットモデルが含まれています。 Coppelia Robotics社が無償公開しているCoppeliaSim Playerをあらかじめ起動しておくとKHR-3HVの物理シミュレーションができ、その動きがリアルタイムでCG表示されます。 CoppeliaSim Player(Windows 64bit版)を使って、テストしています。
※ロボットモデルを自分で作成・編集できるCoppeliaSim PRO版は、無償ではありません。
※このロボットモデル(3Dデータ)は公開情報や実機をもとに我々が作成したものですが、その元になるKHR-3HVに関する権利は近藤科学社が保有しています。一応お伺いは立てたのですが、近藤科学社から公開の許可が下りませんでした。ごめんなさい。
ロボットをコントロールするもの
KHRシミュレータの他に、ロボットをコントロールするもの(HTH4や自作ロボットコントロール・ソフトウェア、あるいはリモートコントローラ KRC-5FH やMicrosoft Gamepadなど)が必要です。※KHRシミュレータをインストールするだけでは、シミュレータ上のロボットは動きません。
なおHTH4など実機のコントロール用に作成された既存のソフトウェアとKHRシミュレータを接続するには、特別な自作ケーブルが必要になります。その場合COMポートの設定をするだけで、実機用の既存のソフトウェアがそのまま使えます。
このたび近藤科学社のご厚意によりオリジナルの HTH4 ver.2.3.0.0 をベースにして、特別な自作ケーブルを使わずにKHRシミュレータとそのまま接続できるようにした HTH4 Private版 を開発しました。また、いくつかの機能拡張も行っています。Private版の主な変更点については、“技術情報”ページを参照してください。 簡単にKHRシミュレータの動作確認をするために、インストールを推奨します。
※HTH4 Private版は近藤科学社の許可を得て、我々が改変し配布しているものです。近藤科学社が配布しているものではありません。これは近藤科学社のサポート対象外です。
使い方
KHRシミュレータ
まず“ダウンロード”ページの手順に従って、KHRシミュレータなどをインストールしてください。基本的な使い方は、以下のようになります。
- KHR3_17_xx.ttt のアイコンをダブルクリックします。(“xx”にはバージョン番号が入ります。これに似たファイル名が使われている場合もあります。)これによりCoppeliaSim Playerが起動します。シミュレーションはまだスタートしていませんが、そのままで構いません。CoppeliaSim Playerを操作する必要はありません。
- RCBsim_xx.exe のアイコンをダブルクリックして起動します。(“xx”にはバージョン番号が入ります。これに似たコマンド名が使われている場合もあります。)CoppeliaSim Playerが起動されていると自動的に接続し、シミュレーションをスタートさせます。
- ロボットを操作するプログラム(例えばHTH4 Private版など)を実行します。あるいはKRC-5FHやGamepadなどを接続して、手動でロボットを操縦することもできます。(事前に設定が必要です。)
RCBsimの起動時にCoppeliaSim Playerが起動していない場合、RCBsimは単独で実行されます。この場合、物理シミュレーションやCG表示はできません。
HTH4 Private版については、他のソフトウェアとの実行順序はありません。
配布するRCBsimでは、17軸用サンプルモーション“Hello_KHR3(V2.3)” がダウンロードされた状態になっています。実機と同じようにHTH4を使ってこのモーションを書き換えたり、別の17軸サンプルモーションをダウンロードしたりすることができます。書き換えたモーションデータは、RCBsimを終了してもそのまま保存されます。
HTH4 Private版を利用したサンプルモーションの実行
例としてHTH4 Private版を利用した、サンプルモーションの動かし方について説明します。HTH4 Private版は基本的に、オリジナルのHTH4と同じ使い方が出来ます。HTH4の詳しい使い方については、近藤科学社のマニュアルなどをご参照ください。- あらかじめKHRシミュレータを起動(KHR3_17_XX.ttt、RCBsim_XX.exeの順にダブルクリック)しておきます。
- HTH4 Private版を起動(HTH4PフォルダにあるHeartToHeart4_Private.exeをダブルクリック)します。
- HTH4 Private版のCOM選択メニューで、“‹KHR simulator›”を選択します。
※HTH4オリジナル版では、“‹KHR simulator›”は表示されません。 - サブウインドウが開いていない場合は、メニューバーの「ウインドウ(W)」から「プロジェクトブラウザ」「モーションテーブル(M)」「メッセージ一覧(I)」を開いておきます。
- Projectブラウザウインドウ(標準では左)で、“Hello_KHR3(V2.3)”フォルダの左の+マークをクリック(あるいはフォルダ名をダブルクリック)して展開します。
※Hello_KHR3(V2.3)フォルダが表示されない場合には、サンプルモーションファイルが正しくインストールされていません。 - 開いたフォルダの中にある“Hello_KHR3(V2.3).h4p”をダブルクリックします。するとMotion Tableウインドウ(標準では右)に、登録されているモーションの一覧が表示されます。
- Motion Tableに表示されている各モーションの番号欄あるいは名前欄をダブルクリックすると、そのモーションが再生されます。
※これはHTH4 Private版の拡張機能です。
※ちなみに実機でサンプルモーションを実行した場合でも、モーションによっては途中で倒れることは珍しくありません。
ご注意
ライセンス
- KHR-3HV, RCB4, HeartToHeart 4(HTH4)は、近藤科学株式会社の登録商標です。
- CoppeliaSim(旧V-REP)は、Coppelia Robotics GmbH (Switzerland)社の登録商標です。
- KHRシミュレータなどは、近藤科学社が配布しているものではありません。近藤科学社はKHRシミュレータなどについて、いかなる保証もサポートも提供しません。
- KHRシミュレータが対象とする二足歩行ロボットKHR-3HVやRCB4に関する基本的な権利は、近藤科学社が保有しています。KHRシミュレータやKHR-3HVの3次元モデルデータなどは我々が開発したものですが、我々もその開発と配布に関して近藤科学社の許可を得ています。そのためKHRシミュレータなどは無償でご利用いただけますが、いわゆる「自由なソフトウェア」ではありません。商用目的には利用できません。またソフトウェアやモデルデータの改変(モデルパラメタの調整を除く)、再配布、二次利用などについては、近藤科学社から認められていません。
- 海外で、KHR-3HVの違法コピー商品が存在するようです。近藤科学社からの要請により、我々が開発したKHRシミュレータのソースコードやKHR-3HVの3次元モデルデータなどについては、研究目的で利用する場合も含めて公開しておりませんのでご了承ください。
シミュレーション
- KHRシミュレータなどに起因するいかなる損害に対しても、我々は何ら責任を負いません。
- なるべく実機に近い動きをするように調整していますが、物理シミュレーションの正確さや実機の個体差などさまざまな要因により、実機と完全に同じ動きをすることを保証するものではありません。
- 今後のバージョンアップ等により、物理シミュレーションの結果が変わることがあります。 (例えば以前はロボットが倒れずに実行できていたモーションが、何も変えていないのにバージョンアップしたら実行途中で倒れるようになったなど。)特に研究目的などでデータを取得している場合は、ご注意ください。
連絡先
実はKHRシミュレータなどは、すべて1人で開発しています。そのため大変申し訳ありませんが、基本的にサポートは提供しておりません。ご協力をお願いします。
E-mail: khrsim @ _domain_
_domain_ = “iba.t.u-tokyo.ac.jp”